見たり読んだり、なにか発見したり。

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 石原理と並んで、私が愛してやまない漫画家が今市子。
 奇しくも文庫「百鬼夜行抄」の最新刊が出て、また1巻から読み返す「妖怪ループ」に
 はまり込んでいたところへ、この足かけ7年のBLの完結編が出たので、
 こっちも1巻から読み返さなきゃならなくて、もう本当に忙しい。(笑)
 
 今さんの作品といえば、一貫して「家族」を描いていて
 必ず系図がつくほど登場人物が多く、関係が複雑に絡み合うのがお約束。
 あっちこっちに転がる展開、いろんなハプニングに右往左往する主人公、
 家族間に秘められたあっと驚くような事実―――などがありつつ、
 最後はすべてを回収して、見事に着地する。
 
 で、「僕のやさしいお兄さん」ですが、ラストへの流れが素晴らしい。
 ものすごく可笑しくて笑っちゃうのに、じわじわと感動が押しよせてきて
 読み終えたときは、思わずぼーっと惚けてしまった。
 彰人、久松、井坂たちの過去から未来を追っかけるのも楽しかったが、
 これって、2つの家族の世代を超えた愛の物語でもあるんだよね。
 特に大じいちゃんとじいちゃんが好きなので、終盤はちょっと涙腺をやられました。

 テーマは最初から「義兄弟の禁断ラブ」で、
 智の15歳という年齢が壁になり続ける。当然、鉄平との関係は遅々として進まない。
 でも読者は、何だかんだ言ってうまくいかないという結末はナシだろうと思うわけだ。
 そこで今さんがとったのは、実父の借金による鉄平の出奔という
 思いがけない急展開。鉄平に気持ちを残しながらも、
 大好きな(初恋の)大じいちゃんの末期ガンという試練に立ち向かうなかで
 智は年齢を重ね(→18歳)、人間としても成長していく。

 どうです、これで最後に残ったLoveのお膳立てが整うわけです。
 そして、智と鉄平はついに再会し……
 
 まさに「物語」を読む喜びに、脳のヒダヒダまで浸りきるような快楽。
 智が自分の成長をつねに身長に照らし合わせて考えるクセも、
 ラスト数ページの布石になってて巧い。
 それで、結局のところ、智の髪は鉄平が切ったのかしら。
 
 
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2012.11.09 / Top↑
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 怒濤の10月の締めくくりは、私のいちばん好きな漫画家2人の新作。
 読めて幸せ!!

 まずは石原理「チープ・フィルムス」(新書館)。
 これはキタ!! なんだこのカッコよさは。
 ヤクザ者の人生に待つ、クソみたいな結末は“死体に咲く花”だった。
 その刹那の美を見届けようじゃないか、と覚悟を決めた男たち。
 吹けば飛ぶよな、しょうもない人生。安っぽい映画みたいな。
  
 そこにLOVEがあるのかないのか
 もはやどうでもいいと思わされる、圧倒的な侠気にクラクラ。
 LOVEを超えた男同士のつながりと考えて、
 ああ、これはルパンと次元の関係だなと思い当たった。
 いや、思い当たってはいけないのか。(笑)
 
 BLを読み始めて4年、
 たくさんの面白い作品に出会ってきたけれど、
 ページをめくりながら激しく昂揚するとか、アドレナリンが出るとか、
 血がたぎるという意味では、石原作品に敵うものはない。

 9月に「LOVE的」という高校生モノが出て、石原さんにしては奇跡的に
 新刊が続いたわけだが、業界自体が縮小傾向にあるなかで
 ベテランが気を吐いているのはやはり嬉しい。
 この人のBLのベースは極道なのかもしれないが、
 それ以外のテーマも非BL路線も、間口が広くて多彩、何を読んでも面白い。
 唯一、続き物がなかなか出ないのが、待つ身にはつらいけれど。
 
 老若男女、広い読者を想定した漫画には「足し算」のサービス精神が求められる。
 でも、石原さんの漫画の真骨頂は「引き算」の作風。
 たとえば、収録作「恋いしいひと」の映画のようなコマ割り、台詞のムダのなさよ。
 「ガキにはわかるめえ」という味わいに、惚れ惚れする。

2012.11.07 / Top↑
 「BL界の石川遼」こと(誰も言ってません)、日高ショーコのクラシカル・ロマン最新刊。

 1~2巻は言ってみれば序章あるいは店開きの最中で、
 ジェットコースターがゆっくりとコースをまわっている途中とすれば、
 今回はいきなり急上昇し、心の準備ができぬうちに頂上地点に連れていかれ、
 えっ、これからついに落ちるの!? 
 と思った寸前で止まる(以下次巻へ)という、ものすごい展開に。あああ、心臓が痛い。

 前巻までは久世子爵家の家令・桂木に謎が多く、
 そもそも当主・暁人と恋愛関係になるのかどうかさえ見通せなかった。
 この物語がなにやらとてつもないマグマを秘めていることはわかっても、
 不確定要素が多すぎて、読んでいてモヤモヤしたというのが本音。
 今回、桂木の出生の秘密と、彼の暁人への気持ちが明らかになって
 この壮大なメロドラマを、ようやく安心して(?)心ゆくまで楽しめるようになった。

 僕の一部が死んでも 残りがお前の傍にあればいいんだ

 17歳とは思えないほど強烈な、そして泣ける暁人の殺し文句。
 桂木にしてみれば、暁人が10歳で久世家に入ったときから寄せられてきた一途な想いに
 押し切られた形ではあっても、暁人が自分の気持ちを押し付けることしか頭にない
 ただの若造だったら、その気持ちに応えることはなかっただろう。
 暁人は「桂木に認められたい」一心で、勤勉かつ聡明な気質を開花させ当主として成長、
 一方の桂木は、そんな当主に接するうち「暁人からすべてを奪う」という
 当初の目的を忘れるほど、気持ちが揺らいでいることを知るのだ。

 明治・大正の「お家の存続第一」という価値観と行動規範、さらに外野のさまざまな思惑が
 精神的に固く結び合った二人の行く手にどんな結末をもたらすのか、
 既刊を復習しつつ待ちたいと思います。(私の予想だと、次巻で終わりかな?)

 
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2011.05.27 / Top↑
 祝・完結!

 「娚(おとこ)の一生」のヒットで、ただいま“遅れてきたブーム”真っ只中、
 絶好調・西炯子が放つ、ボーイズ弓道物語が終わった。

 細部にいたるまで職人芸が堪能できるこのシリーズは、
 イケてない男子たちが成長していく青春物としても、
 弓道の世界を描いたスポーツ物としても秀逸で、笑い&じんわりした感動が味わえる。
 とりわけ、開開(ひらひら)高校弓道部の面々が顔見世興行のごとく出てくる1巻は、 
 妄想キング・宝代をはじめ、「かっこ悪いことの面白さ」が満載なので、
 電車の中などで読む際は気をつけたほうがいいと思います。

 私はずっと健一のファンで、彼の茫洋として懐深い(ぼんやりとも言う)たたずまいに
 やられていたのだが、じつはうっすらと
 彼は「与える男」(byユニコーン。古っ)という気がしていた。

 そして最終巻。そうですか、そういう結末になりましたか。
 健一はやはり「与える男」だった。
 彼が癒やしを与えたのは、親のネグレクトというトラウマを抱える
 金色の髪と青い瞳の青年レオケン。 
 正直、この展開は予想していなかったが、
 男に恋する男の話でも、あくまでボーイズライフであってボーイズラブではない。
 安易にBLにはしませんよ、という心意気かどうかはわからないけれど、
 その着地の鮮やかさに、現在の西さんの力量をみました。

 最近の西さんは、昔よりお目目ぱっちりでふわふわした絵柄だが、
 読む人間を油断させそうな、そんなふわふわした中に、
 吹いてくる風や空気感、人と人の「間合い」が匂いたつようだ。
 そして、優しさの裏側にある毒気も。
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2010.10.11 / Top↑
 気弱な外科医が、満月の夜にヒットマンに狙撃されたヤクザの組長を助けたところから始まる「弱肉強食ラブストーリー」。すでに各レビューで絶賛されているコミックの2巻目がようやく出て、かなり前のめりな感じで書店へ走ってしまった。

 期待どおり面白かった~。 が、

 2巻で完結予定だったものが、諸般の事情でラストは3巻に持ち越しとのこと。
 結果、胸をかきむしられるような、ものすごいところで終わってますが(泣)、まあ仕方ありません。じりじりと次巻を待つことにしましょう。

 医者もヤクザも、BL界では4番打者並みの活躍をみせる職業ですが、この作品はシリアスさとコメディの配分が絶妙だし、また本間さんはとても絵が巧いので、その端正な絵が物語の世界にすばらしくマッチしている。野波はじめヤクザチームは見目麗しく色気があり、卯月センセイはキュートでかわいらしく、まさにウサギちゃん。出番は少ないとはいえ、登場する女の子たちにも単なる添え物以上の存在感があります。(それも、絵が巧いからだろうなあ)

 何より、主役の2人を「兎オトコ(臆病)」と「虎オトコ(強面)」と設定したアイデアが秀逸で、2人がいろんな場面で兎と虎に変身しちゃう姿に、思わず爆笑したりじわっと感動したり。強気な虎が兎に恋をして、その気持ちをもてあますジタバタ感やせつなさも、正義感はあるもののビビリで頼りない兎センセイが、虎オトコとの出会いによってすこしずつ強くなっていく姿にも、ガッツリ心を掴まれます。

 野波語録、
 「だって俺の背中の虎チャンが この女じゃコーフンしねーって鳴くんだモン」(1巻)
 「どうしようタカくん 俺の背中の虎チャンがわんわん泣いてるわ」(2巻)
 は、ヤクザBL史に残る名言になる…か?

 併録の16歳差カップルの行く末も気になるので(あんちゃんは、卯月センセイの髪の色違いの兄弟のようだ)、3巻での再会&進展をこっそり期待している。
2010.06.01 / Top↑
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