見たり読んだり、なにか発見したり。

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 実は、ナイロン100℃の本公演を観るのは初めて。この劇団は昔はほんとうにチケットが取れなくて、気にはなりつつもすっかり縁のない存在になってしまった。が、去年のケラさん作・演出のプロデュース公演「どん底」がとても面白ったので、劇団公演が見たいと久しぶりに思った。チケぴやイープラスの普及で演劇のチケットは入手しやすくなったが、手数料だ発券料だと高くつくのが玉にキズ。

 2幕3時間、「可笑しい」だけでも「泣ける」だけでもなく、感情の深いところに響いてくる芝居だった。
 一見普通に見えて、それぞれどこか言動のずれた人たちが引き起こす笑いに油断をしていると、だんだん救いようのないような悲しい秘密がみえてきて、それまで笑っていた観客はモードチェンジを余儀なくされる。そうなってからの展開に、ケラさんの底力が発揮されるわけだが。
 イジメ、殺人(実は未遂)、不倫、借金、子供の自殺など、それぞれが必死に隠していた傷や過ちが暴かれ、舞台上は追い込まれた人たちでいっぱいになる。心理劇のように、追い詰めたり追い詰められたりするやりとりには容赦がないが、彼らはそれぞれ「弱い自分」に向き合わせられ、観念して気づくのだ。現実を見ようとしないだけでは、問題は解決しないことを。つらく残酷な現実を直視し、弱くてずるい自分にも向き合うことで、彼らはあいてしまった穴を埋め戻す作業にようやくとりかかれる。複雑な関係で結ばれた登場人物のいろいろな「仲直り」が、彼らのこれからを照らすように見えた。そして舞台上は、神様の祝福の“大雨”。出演者はみんなずぶぬれでした。

 冷徹な母親役の峯村リエ、常識人に見えてだんだんぶっ壊れていく犬山イヌコなどさすが貫禄の芝居だったが、ボケをかましながら出すぎず引っ込みすぎずが絶妙な水野美紀、妻と母親の間で右往左往する山内圭哉、気弱で煮え切らないけど善良な山崎一、ぐにゃぐにゃした物腰と特異な存在感はもはや国宝級の大倉孝二ら、客演陣もよかった。息子の自殺を静かに告白する山崎さんは確かに泣いていて、思わずもらい泣きしそうになった。本日はカーテンコールが3回あったが、3回目に出てきた山内さんは迷惑そうな顔で、寒いから早く着替えたいとジェスチャーしていた(笑)。

 朝日新聞の劇評によれば、あのホームレスの神様は、別役実の戯曲の翻案らしい。パンフを買ってないのでよくわからないが。最近のメジャーな演劇公演は、パンフを買わないと出演者の名前さえわからなかったりするが、芸能活動の一環としてどうなんだといつも思う。
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2009.04.30 / Top↑
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