見たり読んだり、なにか発見したり。

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 今さらだが、積読本の佐々木倫子「動物のお医者さん」を一気読みする。
  おもしろ~い。動物のセリフの手書きの明朝体、あのアイデアはすごいな。
 連載開始はなんと1987年。
 四半世紀前のキャンパスライフは今と全く違うだろうが、
(二階堂や菱沼の服装が、80年代らしく派手で懐かしい!)
 動物を相手に奮闘する若者の成長というテーマは、
 現代に至って、荒川弘の「銀の匙」に引き継がれる。
 
 佐々木さんも荒川さんも北海道出身だから、
 自然(動物含む)相手に「なるようにしかならない」という視点があって、
 その大らかさと諦観が、作品の魅力(の一部)になっていると思う。
 
 閑話休題。

 「トラと漂流した227日」という副題のついた今作、
 「動物のお医者さん」のようなコメディではないにせよ、トラと少年が心を通わせる
 ハートウォーミングな内容を期待すると、かなり予想を裏切られる。
 ずいぶん残酷なシーンもあるので、正直、そこは見ていてつらいし、
 当たり前だが、漂流生活も過酷。少年パイは救命ボートの同乗者であるベンガルトラに
 襲われないよう必死になって知恵を絞り、日々をやり過ごすが、
 といって単純に、トラがパイに従順になる展開にもならない。
 食うものと食われるものが、極限状態の中で対峙する。

 この話がサバイバル・アドベンチャーというより、上質な人間ドラマになっているのは、
 主人公が困難を切り開いていく過程が、子供の頃からの信仰心の篤さと
 生い立ち(両親が動物園を経営していて動物に親しんでいた)に根ざした知恵、
 さらに、自分が漂流生活に耐えられるのが相棒(トラ)のおかげだと感謝する心、
 そのすべてがあっての結果だということが、丁寧に描かれているから。

 これはトラと漂流するという試練を生き抜いた
 少年の信仰(神への信奉)と信念の物語だということが、観終わった時にわかる。
 アン・リー監督がアカデミー賞をとったのは、漂流物を哲学的な話に仕上げた手腕だと思う。

 リチャード・パーカー(トラ)は上陸後、少年と別れてメキシコの森に帰っていく。
 物語は現在から始まる回想になっているので、最後、「リチャード・パーカーは今」的な
 話を期待したが、それはなかった。
 大人(おじさん)になったパイとリチャード・パーカーが
 再会する場面が見たいなあと思ったのですけど。

 この日は封切り4週目。レディースデイで満席だったが、
 早い段階で退場した女性が何人かいた。
 CGの素晴らしさと3Dの迫力に息をのむ映像ながら、遭難シーンなどは鼓膜が破れそうだし、
 想像と違う内容だと思う人が大半だろうから、苦手な人もいるはず。
 そもそも4週目で1日1回上映という事実が、内容のビターさを物語っているのでは。
 
 
 
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2013.02.20 / Top↑
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