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 80年代の小劇場ブームの牽引者にして、現在も日本演劇界を背負って立つ野田秀樹。
 …なのだが、じつは一度も観たことがない。
 松尾スズキも宮藤官九郎もKERAも蜷川幸雄も串田和美も加藤健一もこまつ座も観たから
 たぶん最後に残った(?)大物。

 今回、ひょいひょいっという感じで野田マップのチケットがとれたので、
 特に予備知識もないまま、新装オープンの東京芸術劇場に出かける。
 以前は「都の公共施設」を地で行くそっけない建物だったが、
 リニューアル後は内装がゴージャスになり、よそいきな劇場感が増していた。

 席は、1階のメインS席から通路を挟んで左右に1列だけ設けられた「離れS席」後方で、
 役者の表情も全然見えなかったが、イープラスの席だしこんなものでしょう。
 私はイープラスで2回、日本武道館最後列の席(でもS席)をあてがわれたことがある。
 ものすごい急勾配で、山登りの気分が味わえたなあ。

 客層は老若男女入り交じり、でも、人気俳優目当ての人たちのソワソワ感は少なく
 真面目な演劇空間という感じ。じゃあ不真面目なのはどんなだ、と言われても
 よくわからないが。とにかく、落ち着きはらって開幕を待つ人たちが大半。
 実際に観たあとで思ったのは、野田さんの芝居は楽しいだけの内容じゃないから
 客席の雰囲気もそういう感じになるわけね……。
 
 コマネズミのように動きまわり、機関銃のようにセリフをまくし立てる―――
 というのが野田さんの芝居のイメージだったが、ご本人以外はそうでもなかった。

 
 モチーフになるのは、寺山修司の幻の戯曲、オリンピック、戦争と満州。
 タイトルの「エッグ」は卵を使ったスポーツで
 日本チームはこの競技でオリンピックを目指しているという設定だ。

 前半は躍動感と軽妙感で笑わせ、後半は一転、超シリアスに。
 戦争という渦の中で、謀略を企てる者と犠牲になる者がいる。
 助かる者と助からない者がいる。それは「いい悪い」である以前に、現実である。
 それをどう解釈し、実際の「行動」につなげていくかは
 戦争から約70年後を生き、いま震災も経験した私たちが考えるべきこと。
 ……というボールを、野田さんに投げられた気がしたわけです。

 なので、舞台のクオリティはさすがプロフェッショナルだと思うが、
 内容は重くてつらい。とくにラストシーンには胸がつまる。
 
 この重さを一手に担うのは妻夫木くん。
 なんというか、ものすごくニュートラルな存在感で、いい役者だなあと思った。
 この日は、カーテンコールの時も泣いているように見えたが、
 観客の拍手に感動してというよりは、役に入り込んで戻ってこられなかったんだろう。
 そのへんのつらさは、多分日を追うごとに克服していくのだろうけど。

 深津さんは華があり、舞台を背負える大物感もある。
 歌声は椎名林檎風、というより私の年齢だと松田聖子にしか聴こえない。
 発声も今回、故意に高くしてるのかも。
 仲村トオルさんはでかい。声低い。胸板厚い。舞台映えする。
 こういう役でなく、もっとやんちゃな芸風のほうが本人はしっくりくるかもしれないが、
 ここで演じたのがなにか転機になりそうな気がします。

 橋爪功、秋山菜津子さんの安定感、藤井隆さんのきっちりした仕事。
 相変わらずくにゃくにゃした動きで、余人に代えがたい大倉孝二さん。
 公演2日目ながらとくにミスもなく、プロ意識の高い仕上がりでした。
 若者を中心とする30人以上の「コロス」(その他大勢)もGood。
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2012.09.07 / Top↑
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