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 いま一番チケットがとれない興行といえば、
 ジャニーズやAKB48、芝居なら三谷幸喜や大人計画、
 そして落語の世界では、立川志の輔と立川談春。
 立川流家元が亡くなった時、「談志の功績の一つはよい弟子を育てたことだ」
 と、いろんな人が口をそろえて言った。

 確かに志の輔も談春も志らくも、師匠の看板を背負って恥じない活躍ぶり。
 談志ほどの鬼才でなくとも、社員を育てるのがうまい経営者とか、
 自分に才がないだけに、心から尊敬してしまう。
 もちろん、教わる側の努力が必要なことはいうまでもないが。
 もっといえば、子弟の相性というのも確かにある。
 伸びる組み合わせと、どうやっても化学反応が起きない組み合わせと。

 閑話休題。
 売れっ子ゆえ、チケット争奪戦に敗れ続けていた志の輔師匠が
 私の地元で毎年行っている独演会の席がとれ、
 人生2度目の落語会(最初は小朝師匠)に行ってきた。
 エポックなかはらは川崎市の施設で、定員900ほど。師匠いわくハコのサイズと
 観客との距離感がほどよく、話しやすい会場らしい。

 1部は、前座(二ツ目の立川志の八?)の「牛ほめ」
 つづいて志の輔の長~いマクラと、創作落語(題目不明)に大爆笑。

 ドラッグストアに買い物にきたおっさんが、消臭剤だの歯磨き粉だの
 品物の種類の多さに仰天し、店員の兄ちゃんに常識外の困った質問をしまくる。
 「この『おいしいネコ缶』ってのは、誰がそう言ったんだ。ネコは言わねえだろ」とかね。
 どの質問にも答えられない定員は追いつめられて、戻ってきた店長に泣きつく。
 店長と店員とおっさんでやんややんややってると、
 レジで待ちぼうけを食わされていた別の客が一言、でサゲ。
 いやー、おもしろかった!

 森の香りのトイレの消臭剤を勧められたおっさんいわく。
 「便所が森の香りになって悪いことは何もねえが、唯一困ることがあるとすれば、
 森に行った時に便所を思い出すことだな

 2部は、まずアコーディオンで昭和歌謡などを歌う遠峰あこさんが登場し、
 「崎陽軒のテーマ」「東京節」「百万円」などを熱唱。
 ウクレレ漫談しかり三味線漫才しかり、楽器付きで世相を歌うと「芸」になる。

 つづいて志の輔登場。軽くマクラがあって、始まったのは大ネタ「柳田格之進」。
 もちろんこの時点では何の噺かわかっていないし、帰ってから調べたわけだが、
 けっこう難物というか、師匠の中でやりたくないネタの一つらしく、
 それをあえて持ってきたのか~、ということも帰ってきて知った。

 落語に泣かせる話がたくさんあることは知っていたが、
 実際に泣かされたのは初めてだった。
 
 清貧の武士・柳田格之進は質屋の主・万屋源兵衛の碁の相手として
 万屋に出入りしていたが、碁に夢中になりすぎる源兵衛を番頭の徳兵衛は
 苦々しく思っていた。ある日、番頭が主に渡した50両の在り処が
 わからなくなり、その50両のやり取りが源兵衛と柳田の碁の最中だったことから
 番頭は柳田が事情を知っている(ネコババした)のではないかと疑う。

 柳田を尊敬する源兵衛は、番頭の考えをきっぱり否定するが、
 もし万が一、柳田が間違えて50両を持ち帰ってしまったとしても、
 その金は私個人の金で、自分が使ったことにする、そう帳簿に付けておけと言う。
 
 どうしても納得いかない徳兵衛は、翌日、主に独断で柳田のもとに出向く。
 「店から50両がなくなったのだが、事情を御存じないか?」
 番頭は自分を疑っているようだし、
 このまま金が出てこなければ、奉行所に届け出るつもりだという。
 届け出れば、柳田も役人から事情を聴かれることになる。
 それは武士として許しがたい屈辱で、柳田はひそかに切腹を決意するが、
 父の心情を見抜いた娘のおきぬに止められる。
 「50両を用意して万屋に渡せば、父上の面目は保たれるはず」
 自分が吉原に身を売ると言い張る娘と、止める父の押し問答。
 (ここ、泣かせます

 結局、娘は吉原に行き、翌日柳田は番頭に金を渡すが、
 ハナから柳田を疑っていた番頭は、金さえ戻ってくればとひと安心。
 柳田に「もしあとで金が見つかったら、お主はどう責任をとるのか」と問われ、
 軽い気持ちで、「私のこんな汚い首でよければいくらでも差し上げます。
 ついでに主人の首も差し上げます」と言ってしまう。

 その後、柳田は姿を消し、その年の暮れの大掃除中、
 金は万屋の家で見つかる。
 年が明け、番頭は偶然、武家に取り立てられ出世を果たした柳田と再会し、
 金が見つかったことを伝えると同時に、
 自分がした約束のために首を斬られるという恐怖に身を震わせる。
 柳田は明日、主人・源兵衛に会いに万屋に行くと伝えるのだった。

 店に戻って事情を告げた番頭に、源兵衛は「そうかよくわかった。おまえは
 明朝から、遠方までお使いに行っておくれ」。
 番頭を逃して、自分ひとりが柳田に斬られる覚悟を決めたのだ。
 そして翌日、柳田がおきぬとともに店にやってくる。
 (おきぬは吉原から請け出されたようだが、このへんの流れは正直、よくわからなかった)
 武士の矜持を傷つけられ、娘が辱めを受けさせられた以上は、
 死んで詫びてもらうほかないという柳田に、
 すべては私の責任と、首を差し出す源兵衛。
 そこへ、お使いに出したはずの徳兵衛が飛び込んでくる。
 「すべては私の責任、主人は何も悪くない。
 何十年も仕えた私の言葉より、柳田さまを信じる主人に嫉妬をしたのです」
 (ここで私、泣きました

 私が悪い、いや私が悪いんだと、二人が庇いあう様子を見ていた柳田は、
 心動かされるものの、おきぬの手前、ここで引くわけにはいかない。
 逡巡しながら、てええええ~いと刀を振りかざすと……。
 真っ二つに切れたのは男たちではなく、部屋に置いてある碁盤だった。

 すまぬ、手元が狂ったと再び刀に手をかけようとした柳田を
 止めたのはおきぬだった。「父上、もう十分でございます」

 柳田の面子を立てるかたちで事は収まり、
 「お主の大切にしている碁盤を切ってしまい、申し訳ない」と謝罪する柳田に
 源兵衛は、私はもう二度と碁は打たないと答える。なぜなら、
 「私の碁は、これで白黒がつきましたから」

 
 
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2012.10.05 / Top↑
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