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 祝日のクリスマスイブは、「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」の
 トリを飾る「組曲虐殺」。上演時間を調べようと検索をかけたら、全然ひっかからず
 ヘンだなと思ったらタイトルを勘違いしていた。「組長虐殺」じゃないから。

 2009年の初演と同じキャスト6人と音楽(生ピアノ演奏)の小曽根真さんの
 少数精鋭アンサンブルで、チラシには「音楽評伝劇」とある。
 「蟹工船」で知られる作家・小林多喜二の拷問死(昭和8年)をめぐる物語は
 当然、腹にずしりとこたえる内容だが、井上ひさしらしい人間賛歌に満ちている。
 例えば、多喜二を追う特高(山本龍二、山崎一)もただの悪人としては描かれないし、
 彼らもそれぞれつらい生い立ちを背負って生きている。

 観ていて湧いてくるのは、こんな社会は間違っているという感情。
 権力が人々を抑えつけ、それに抵抗する者が容赦なく殺されるような
 世の中は(そういう国家は)絶対におかしい。
 そんな当たり前のことが当たり前でなかった時代が、そう遠くない昔にあったのだ。
 そして世界には今も、そんな国や地域がある。
 
 自由にパンが買えることがどれだけ幸せか、という台詞ひとつとっても
 戦争をしていた時代とくらべれば、私たちは格段に恵まれている。
 でも、恵まれていると思っていない人が大半なんだろうな。
 不平不満はすぐに溜まるが、感謝の気持ちは忘れやすい。

 不条理に訴えるのは暴力ではなく、言葉の力だと井上ひさしはいう。
 ものを書く行為には、身体の底からたぎるような情熱と確固たる信念が必要だとも。
 言葉で闘おうとした多喜二が、拷問を受けるシーンは出てこない。
 すべてが終わった後に、多喜二を取り巻く人々が静かに語り合う。
 その静かさと、特高の悲痛な呼びかけが胸を打った。
 
 キャスト全員が歌うが、高難度な歌(笑)はもちろん井上芳雄が担う。
 井上さんが歌うと、音楽劇というよりミュージカルっぽくなるが、
 この人は井上戯曲と出会って幸福だったね。俳優としての道が多方面に開けたわけだから。

 高畑淳子は発声が低く、台詞が腹に響いてくる。芝居も歌も上手い。
 神野三鈴はファニーボイスが素敵。私の好きなジェニファー・テイリーに似てる(かも)。
 山本龍二&山崎一は当然安定した存在感だし、石原さとみも頑張っていた。
 この日は石原さん誕生日で、終演後にファンクラブ限定イベントも行われた模様。
 
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2012.12.25 / Top↑
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