見たり読んだり、なにか発見したり。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
 17、8年前になるが、辞書編集の末端にいたことがある。
 私が関わった歴史辞典で編集委員20人(編集協力66人)、執筆者約900人だから
 映画に出てくる「大渡海」レベルならば、軽くそれを超える規模に違いない。

 21世になって、辞典が紙媒体からCD-ROMや電子書籍に移るなかで
 90年代半ばに始まる「大渡海」の編集作業は、
 リアルタイム世代の自分には、何しろ懐かしい。当時データ管理はPCでも、
 語釈の原稿などは、まだまだ手書きの人が多かった。
 蔦の絡まる玄武書房の外観も、本の匂いが漂ってきそうな薄暗い編集部の雰囲気も
 見ているだけで、若き日の記憶の扉をドンドン叩かれる。(笑)

 極め付きは、主人公の馬締(まじめ)が住む下宿のたたずまい。
 実際に住んだことはなくても、木造・引き戸・タイル張り台所の昭和な家を
 懐かしく感じる人は多いと思う。とにかく郷愁を誘う映像なのだ。
 
 会社員なら自分の食い扶持は自分で稼げ、というようなシーンがあるが、
 辞書作りにはとにかく膨大な時間と手間がかかるので、
 担当者の努力はもちろん、会社側にも文化事業を担うという姿勢と覚悟が必要だ。
 手間がかかるという点で、長期間の辞書作りは人を育てることにも似ている。
 正社員を採らない企業は、人を育てないということ。
 その先に渡るバトンがないのなら、未来のビジョンも描きようがない。

 原作は未読だが、たぶん小説も映画も「時間の流れ」がポイントで
 十数年という歳月の中で、大渡海にかかわる人間が入れ替わり、主人公は恋をして
 下宿のおばあちゃんは亡くなり、経営側の意向で辞書制作続行が危ぶまれたりする。
 日々はゆるやかに流れているようで、その積み重ねが人生だということが
 理屈でなく体にはいってくる、そんな作品になっている。

 松田龍平をスクリーンで観たのは初めての気がするが、一貫してダサくて良かった。
 辞書編集部に美男美女は似合わない!(暴言) そして腕カバーLOVE!
 宮崎あおいが出てくると、なんでもお伽噺のような雰囲気になるのだが
 この現実感のなさは、今回の昭和ノスタルジーにもマッチしている。
 役者はみんな良くて、とくに伊佐山ひろ子は私的助演女優賞。
 オダギリジョーも、軽薄さと浪花節の同居する上司役がとてもはまっていた。

 余談だが、加藤剛演じる辞書監修の先生が「BL」とか言うのがおかしくて
 思わず噴いてしまった。三浦しをんの原作だしね、油断した~。
スポンサーサイト
2013.04.30 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://kaukau1192.blog115.fc2.com/tb.php/126-ecfa0a18
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。