見たり読んだり、なにか発見したり。

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 休憩を入れて3時間10分、たったひとりで舞台を勤め上げる師匠を見ながら、
 このクオリティにもってくるまでどれだけ稽古を積んだのか、と気が遠くなった。

 ひとり芝居でさえ長くても1時間半。落語と芝居は違うとはいえ、
 3時間、ひとりで空間を支配することのとてつもなさ、尋常なさがわかろうというもの。
 
 三遊亭圓朝が明治17年(1884)、15日間、30時間にわたって高座にかけた噺を
 2人の速記者が記録したのが、圓朝版「怪談牡丹灯籠」。
 志の輔版「牡丹灯籠」はそれをぎゅっと凝縮し、
 前半はフリップを使った人物相関図の「講義」、後半が落語という構成をとる。

 死んだお露が恋人新三郎を取り殺すくだりが、一般に知られる「怪談牡丹灯籠」。
 でもその場面はほんの一部で、全体を知るとあまり印象に残らない気すらする。

 
その代わりと言ってはなんだが、
 幽霊になったお露たちと取引した伴蔵と、江戸でお殿様(飯島平左衛門)の妾になりながら
 殿の追い落としをたくらむお国という、2人の悪党&悪女っぷりがえげつない。
 男恋しさのあまり死んだ後も追いすがる若い女の情念よりも、
 悪の限りを尽くしても富を得たいという人間の業のほうに、なぜか胸を打たれる。
 
 落語には悪人が出てくるというイメージがなかったが、
 人物相関の複雑さも話のスケールも、もはや一級品の時代劇の風格。
 歌舞伎にも映画にもなっているわけだから、話の面白さは疑いようもないけれど。

 この噺の中心人物の孝助は、お殿様・飯島平左衛門の忠実な家臣。
 父・孝蔵を切り殺され、敵討ちの相手を捜しているが、実はその人物こそが平左衛門なのだ。
 事件は不幸なアクシデントだったが、平左衛門は自分が孝助の父を斬ったことを知る。
 知りながら孝助に剣術を教え、家臣として可愛がる。孝助もまた主君を尊敬し、
 殿に対しよからぬことを企んでいるお国の動向を気にかけている。

 最初から平左衛門が孝助の敵討ちを叶えてやろうと考えていたかはわからないが、
 飯島家のお家騒動のさなか、平左衛門は孝助に自分が刺されるよう仕向ける。
 彼はその傷がもとで死んでしまうわけだが、
 逃げ延びたお国と孝助の母りえとの関係とか、伴蔵のその後とか、
 話はまだまだジェットコースターのように続くのだった。

 聴いているこちらも頭フル回転。おおおお~、という感じでストーリーが収束し、
 ラストシーンというとき。死んだ平左衛門が孝助の前に現れ、二人で語り合うのだ。
 なんの因縁か、こんなことになってしまったけれど、もともとお互いに慈しみあう関係。
 すべてが終わってみれば――同じ月を見て、主君への思いを新たにする孝助の姿に
 じーんときた。客席にも、ハンカチを握りしめる人多数……。
 志の輔版「牡丹灯籠」の白眉である。

 師匠いわく、長い「怪談牡丹燈籠」を読んでいて、頭にこのシーンが浮かんできたそう。
 それが描きたくて、志の輔版「牡丹燈籠」は誕生したと言っていました。

 それにしても、あんな仁徳者の平左衛門の妾がなぜお国なのか。
 唯一、よくわからなかったな~。 
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2015.07.21 / Top↑
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