見たり読んだり、なにか発見したり。

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 「BL界の石川遼」こと(誰も言ってません)、日高ショーコのクラシカル・ロマン最新刊。

 1~2巻は言ってみれば序章あるいは店開きの最中で、
 ジェットコースターがゆっくりとコースをまわっている途中とすれば、
 今回はいきなり急上昇し、心の準備ができぬうちに頂上地点に連れていかれ、
 えっ、これからついに落ちるの!? 
 と思った寸前で止まる(以下次巻へ)という、ものすごい展開に。あああ、心臓が痛い。

 前巻までは久世子爵家の家令・桂木に謎が多く、
 そもそも当主・暁人と恋愛関係になるのかどうかさえ見通せなかった。
 この物語がなにやらとてつもないマグマを秘めていることはわかっても、
 不確定要素が多すぎて、読んでいてモヤモヤしたというのが本音。
 今回、桂木の出生の秘密と、彼の暁人への気持ちが明らかになって
 この壮大なメロドラマを、ようやく安心して(?)心ゆくまで楽しめるようになった。

 僕の一部が死んでも 残りがお前の傍にあればいいんだ

 17歳とは思えないほど強烈な、そして泣ける暁人の殺し文句。
 桂木にしてみれば、暁人が10歳で久世家に入ったときから寄せられてきた一途な想いに
 押し切られた形ではあっても、暁人が自分の気持ちを押し付けることしか頭にない
 ただの若造だったら、その気持ちに応えることはなかっただろう。
 暁人は「桂木に認められたい」一心で、勤勉かつ聡明な気質を開花させ当主として成長、
 一方の桂木は、そんな当主に接するうち「暁人からすべてを奪う」という
 当初の目的を忘れるほど、気持ちが揺らいでいることを知るのだ。

 明治・大正の「お家の存続第一」という価値観と行動規範、さらに外野のさまざまな思惑が
 精神的に固く結び合った二人の行く手にどんな結末をもたらすのか、
 既刊を復習しつつ待ちたいと思います。(私の予想だと、次巻で終わりかな?)

 
 日高さんは短編連作「足りない時間」「シグナル」「嵐のあと」を既読。
 絵がクールで美しいということと、ストーリーより心理描写重視の人なのかなという
 印象を持っていたが、「憂鬱な朝」(連載中の「花は咲くか」も同様)で
 腰をすえて長編に取り組んだら、ストーリーテラーとしての面白さが際立つのに驚いた。
 絵も静かな情熱を秘めた知性を感じさせるが、長編で才能が開花するほどに
 ご本人もかなりクレバーな方なのだろう。

 あと日高さんて、白=攻め&黒=受けがデフォルトらしい(笑)
 私は想像力が乏しいので、黒=攻めのイメージなんだけど。
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2011.05.27 / Top↑
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